天衣無縫

天衣無縫@夏至

天衣無縫#1
@星のことば月の子ども 2023夏至号 by 猫羊舎

浴衣のブラウス

 日本の夏、高温多湿なこの季節を涼やかに気持ちよく過ごすには、浴衣が一番なのかもしれません。洗濯に強く、さらにすぐ乾く浴衣地で、Tシャツ感覚で着られるブラウスを作ってみました。例年夏になると、浴衣地リメイクのものばかり着て、心地良さの恩恵に預かって来ました。綿100%のブラウスは、洋服で考えると春や秋にも着られるはずなのですが、夏以外は不思議と手は伸びません。日本人のDNAなのでしょうか。

 浴衣の起源は、平安時代に遡ります。当時の風呂は今のような湯船ではなく蒸し風呂で、水蒸気で火傷をしないために浴衣(湯帷子ゆかたびら)は着られていました。その後、浴衣は寝巻着となり、そして江戸時代には夏の外出着として普及しました。白地の浴衣は昼に、紺地は藍の防虫効果により、夜に着られていたそうです。

 反物から下ろしたばかりの浴衣地は、まるで麻のようにパリッとしていますが、

洗濯を重ね、着慣れていくと肌に気持ちよく沿ってくれて、その後解かれておしめにまでリメイクされてきました。着古した浴衣が、赤子の肌にも優しい肌触りになるのですね。そして最後には雑巾となり、浴衣地の一生が終わります。

 物を大切にする心、人のぬくもりや歴史を感じさせる、素敵なリサイクルシステムだなとつくづく感心します。

 浴衣のブラウスを着ることで、少しでも周りの方々の目にひとときの涼と、伝統の

和文化の香りを届けてくれるといいなと思いますが、何といっても着ていて心地よいこの浴衣地で、この夏も乗り越えていきたいと思います。